歯垢は、食べ残しをエサとして口内の細菌がつくる物質ですが、歯石は唾液の働きなどによって歯垢が石灰化したものです。歯垢も歯石も歯のいたるところにつくられる可能性はありますが、やはり歯石は歯の裏側や歯と歯ぐきの間につくられるケースが多いことから、できてしまうと非常にやっかいです。
物質的に両者はまったくの別モノですが、その特徴も大きく異なります。ただ、互いに影響し合っているという点に関しては、別々にとらえるのではなく、関連させて理解を深めるべきでしょう。
歯垢は歯みがきによって落とすことができますが、歯石になってしまうと歯みがきだけでは落とすことができません。この場合、「スケーリング」という技術を駆使して、外科的な治療をほどこすことによって歯石をはがしとります。そのため、歯と歯ぐきの間の奥深いところにできてしまった歯石を除去する際には、かなり大きな痛みをともなうことがあり、場合によっては麻酔をして除去することもあります。
歯垢が付着するのは「歯全体」ですが、歯石は歯の表面ではなく、歯垢が落ちにくい場所にできやすいと言えます。たとえば、歯と歯の間に付着してそのまま落とすことができなかった歯垢が、やがて唾液の働きによって歯石になります。
唾液腺の近くにできやすく、上顎の奥歯外側、下顎でしたら前歯の内側に歯石はできやすくなります。
歯石の多くは、唾液の働きによって歯垢が石灰化したものです。とすると、歯と歯ぐきの間に唾液が染みこむことで、石灰化された歯垢が歯と歯ぐきの間で歯石に変わります。
歯垢と歯石は互いに関係しあい、悪循環を呈します。歯垢が石灰化し、歯石ができるわけですが、歯石は凹凸がたくさんできたまま歯に対して強固に付着します。つまり、表面がザラザラした状態で歯に付着するのです。そのため、その凹凸の部分に新たな歯垢がたまりやすくなり、これがまた唾液によって石灰化されやすくなります。
この繰り返しによって、一度歯石ができてしまうと、どんどん歯石が大きくなってしまうという悪循環になります。そのためにも、定期的に歯科医院で歯石除去を行うことが望まれます。歯石は、歯と歯ぐきの奥深いところにできてしまうと、スケーリングの際に強い痛みをともないますが、初期的段階であれば、比較的簡単にはがすことができます。だからこそ、定期的に歯石除去を行うことが望ましいのです。歯の検診の意味も込めて、だいたい3カ月おきくらいに歯石除去を行うのがベストと言えます。
歯垢と歯石の違いを理解し、歯に悪影響を与えるファクターを逐一除去するよう心がけましょう。
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